嘘でも

今日もくる。
いつもと変わらない1日が始まる。
今日は何日だったっけ。
ふと、そう思ってカレンダーを見ようとした瞬間。
パタパタ、とちょっと早めな足音が聞こえてきた。
そして僕のいる応接室の前でピタリと止まった。
あの人だ。

「恭弥」

ガラガラと扉を開けながら、僕の名前を呼ぶ。

「…またきたの?」
「今日は、大事な話があってな…」

…いつもはヘラヘラしながらこっちにくるのに。
なんだか今日は様子がおかしい。
すごく真剣な顔をしながら、ゆっくりとこっちに向ってきた。

「何。大事な話って」
「…俺、」

短い言葉を吐き出して、一息置く。
一体なんなんだろう。
この人がこんなに真剣になる話って。

「俺、結婚したんだ」

目の前が暗くなる。
こういうのって本当にあるんだね。
"大きなショックを受けると、目の前が暗くなる。"
…僕、なんでショックなんて受けてるの。

「意味、わかんない」

本当は「あっそう」って言ってそっぽを向きたかった。
いつもの僕で、いたかった。
けど。

「意味、わかんない…」

こんなにショックを受けてる僕も、この人がいきなり結婚したことも。
意味が分からない。

「恭弥、今日は何日だ?

そう言われて、ふとカレンダーに目をやる。
まず目に飛び込んできた数字は、4。
いつのまに4月になったんだろう。
そしてよく考えてみると今日は…。

「しがつ、ついたち…」
「…そして何の日だ?」

笑いを堪えたその声を聞いて、怒りが込みあげてきた。

「エイプリルフールだ、恭…」

とうとう笑いが堪えられなくてふきだした彼を、トンファーでぼこぼこにしてやりたかった。
だけど、力が入らなかった。
何、このすごい安心感…。
振り上げた手が、だらん、とだらしなく伸びる。

「おまっ。…そんなに俺が誰かと結婚するの嫌だったのか?」

違う!
って大声で叫びたかったけど、声が出なかった。
声に出せないから、左右に首を振りたかったけど、無意識に、縦に振ってた。

「え…」

そんな僕の反応を見て、この人は顔を真っ赤にする。
そして一間を置いて。

「恭弥ーっ…ぶっ!」

抱きついてこようとしたから、今度こそトンファーで殴っておいた。
あぁ良かった。
これですっきりだ。
…となるはずもなく。
騙された僕の怒りはおさまらなくて、そのあとぼっこぼこにしてやった。
そして、

「アナタなんて、大嫌い」

と吐き捨てて応接室を出て行った。
最後に言った"大嫌い"は、仕返しについてやった、嘘なんだけどね。




いえーいエイプリルフールねたヽ(^o^)ノ やっぱこれやらなきゃね、うん! ←Back