Snow Smile



「十代目! 外見て下さい、外!」
「ん…」

朝、獄寺くんの大声で起こされた。
これで寝起きは最悪。
…なんで俺の部屋入ってるんだよ!?

「十代目! 外です、外!」
「…分かったってば」

あまりにも獄寺くんがせかすもんだから、まだ重たいまぶたを擦りながら、カーテンをあける。

「わ…」
「凄いっスよねー。綺麗ですねー」

窓からの景色は、あたり一面の銀世界。
まだ起きたばっかの俺には、あまりにも眩しすぎて、思わず目を細める。
太陽の光に反射して。
すごくキラキラしていて。

「こんなにたくさん雪が積るなんてねー」
「十代目! 行きましょう!」
「は…?」
「ささ、早く着替えてください!」


あぁ、外で遊びたいのか。
獄寺くんにも、子供なところがあるんだなぁ、って思いながらパジャマから私服に着替える。

「さむー」

なにげなく着替えをしていたら、なんだかすごく、視線が気になった。


チラ、と横に目をやると、獄寺くんが俺の着替えをガン見していた。
とりあえず殴って、玄関で待っているように言っておいた。
ちゃんと寒くないような恰好をして、玄関に向う。
玄関には、すごくニコニコしている獄寺くんが立っていた。

…普段はあんなに恐いカオしてるのにね。

なんて思いながら、獄寺くんに話しかける。

「外で何するの?」
「まぁ色々と!」
「ふーん…」

玄関のドアを開けると、2階の窓から見たよりも全然きれいな白い世界。
さて、これから雪合戦でもするのかな?
そう思いながら、1歩を踏み出す。
ギュ、という音がして、俺の足跡が雪に残る。

そのあとに続いて、獄寺くんも踏み出す。

「…獄寺くんの足の方が大きいんだね」
「ですね」

笑いながら1歩1歩あるく。
後ろを振り返ると、2つの足跡。
大きいのと小さい、2つの足跡。
この小さな銀色の世界に、2人だけでいるような感覚。

「十代目?」

俺は、獄寺君の手を握った。
そして

「わっ」

そのまま前を向いたまま、後ろに倒れこんだ。
もちろん、手をつないでいた獄寺くんも巻き添えて。

「冷た…っ! どうしました十代目!? どこか具合でも…っ?」
「…ぷ」
「え?」
「あはははっ」

俺が貧血か何かで倒れたんじゃないか、と本気で心配する獄寺くんをよそに、俺は笑う。
しばらくは、そんな俺をきょとんとした顔で見ていた獄寺くんだったけど、最終的には一緒に笑っていた。

雪のじゅうたんの上に、あお向けになりながら。

そして俺は、獄寺くんの手を再び握った。

獄寺くんはまた顔を赤くした。

つられて俺も赤くなる。
そして、熱くなる。
俺らも周りの雪だけ、溶けてしまいそうなくらいに。

どんな暖かいモノよりも、あたたかい君。

+END+


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