「うー…重い…」 俺は、トイレに行ったあと廊下を歩いていたら丁度そこを通りかかった先生に 捕まってしまい、今、こうして書類だかなんだか知らないけど、 とにかく紙がいっぱい入った、重たい箱を持たされていた。 「ったく。なんで俺が…」 一旦箱を下に降ろして、少しだけかいた汗を拭う。 「10代目?」 背後から頼もしい声。 「獄寺君! 丁度良かったー。これ持つの手伝ってくれない?」 「喜んで!」 にこやかに笑いながら、箱の片側を持つ。 なんでそんなに嬉しいんだろう。 優しいとかじゃなくて…忠実? なんだろうか…。 友達に"忠実"っていうのも凄い変だけど。 2人で持つと、やっぱり軽かった。 しばらく歩くと、階段に差し掛かる。 目的地は3階だから、この階段を登らなきゃ。 「獄寺君。この階段登るよー。」 「はい!」 2人横に並びながら階段を登る。 あー、疲れるなぁ…。 持つ手が痺れてきたから、よいしょ、と箱を持ち替えようとした。 その時だった。 「うわっ」 俺、足を踏み外した。 「10代目!!」 駄目だ…っ! 落ちる…! そう思ってギュっと目を瞑った。 ふ、と俺の腕を、暖かい何かが掴んだ。 下の方で、バサバサと紙が何枚も落ちた様な音がした。 そのあとトン、という軽やかな音が聞こえた。 俺は動転しててそれが何の音だか分からなかった。 「大丈夫ですか!?」 身体中に嫌な汗をかきながら、前を見る。 「―あ。」 獄寺君が、俺の腕を咄嗟に掴んでくれたお陰で、 俺、落ちずに済んだんだ…。 「すみません! 俺がいながら…」 「獄寺君がいたから、俺、怪我しないで済んだんだよ。」 「でも…っ」 下を見ると、紙がバラバラになってて、空のダンボール箱が落ちてた。 「…ねぇ。」 「はい!」 「俺、もう大丈夫だから、あのー…手…。」 「あっ。すみません!」 獄寺君は、今までずーっと俺の手を掴んでいた。 もう手は離れてしまったけど、掴まれていて嫌な感じはしなかった。 どっちかというと、あったかくて…心地良かった…気がする。 人の体温って、こんなに落ち着くんだ。 「10代目?」 「!」 俺は無意識に獄寺君の手を掴んでいたらしい。 「ごめん…っ。」 恥しい…! 急いで手を離そうとすると、握り返してきた。 「え…。」 驚いて顔をあげると、顔が赤くなっている獄寺君がいた。 つられて俺も赤くなる。 でも、気持ち良い。 もう少しこのままで…って思ってたら、足音が聞こえた。 誰かくる! 俺と獄寺君は手を離して、急いで階段の下の散らばった紙を拾い集めて 何事も無かったように階段を登る。 足音の持ち主とすれ違って、俺達は2人同時に溜息をついた。 「…。」 そのあとなんだか気恥ずかしくて、無言でいたけど 耐え切れなくなって、思わず2人で噴き出した。 + END + ←Back